2008年 05月 11日
ウナビリー・マシーン・ワークス |
金属が削れる音は静かだ。
そして、削られた金属はヒヤッとしていた。てっきり熱いのかと思ったら「熱を持っているという事は無理に削っているので、どっかに歪みが出たりするんよ。だから、それを回転の速度や削り方で調整するんだわ。」との答え。1968年製の年季の入った旋盤は、古いネジのタップも綺麗につくり上げることができるらしく、敢えて探したマシンなんだそう。
トライトンを乗るうちに、手に入る部品の精度に辟易した彼は遂にその部品をつくる技術を欲するようになった。
もっと良くならないか?というシンプルな想いで始まる追求には、終わりが無い。
そのマシンを操る彼の横顔は、楽器を操る奏者の様で真剣でいて、誇らしかった。
「どうだ、いい音を奏でているだろう。」と。
そんな彼の粋がつまったトライトン。山道で少し乗せてもらった。
フェザーベッドのワイドラインは幅広だ、ニーグリップの位置がちょっと決まりにくい。キックが少し右足に触れているので最初は違和感があるが(ゴールドスターのように前振りに付ける事ってできるのかなぁ。)慣れてくるとやっと乗り味に気を向けることが出来てきた。
「もっと上まで回した方が俺は面白いんだぜ。」とエンジンが語ってくるような、加速の片鱗が気になってくる。「これ、別体?」というほどにスムーズで4千回転ぐらいからアツい加速になる気がムンムンしてくる。そろそろ、ぱっくりアクセルを開けて高回転でしばらく引っ張れる所はないかな・・・と虎視眈々と狙い始めた所で目的地に到着。試乗終了!アー残念!!
トラは上(高回転)が面白い、と言われているが、それに輪をかけて、エンジンが乗り手を煽って来るような興奮するトライトンだった。ウナさん、乗せてくれてありがとう。
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ウナさんのワークショップでは、トライアンフ・クラッチのオリジナル・ボールベアリング加工をはじめ、様々なパーツの製造や加工にも応じてくれる。ただ、「職人仕事」なので、軽い気持ちで頼むのはNGよ。(訪:3月下旬)
ウナビリー・マシーン・ーワークス
http://sun.ap.teacup.com/umworks/
by mbr_london
| 2008-05-11 14:00
| MOTORCYCLE